石油ストーブの上にやかんを置く危険性についてご紹介します。
石油ストーブの上にやかんを置くと「部屋が加湿できて一石二鳥」とですが、「ストーブの上にやかんを置いたら危ない?」と思っている方もいらっしゃいますよね。
ストーブの上にやかんを置くことは、メーカーも注意を払うよう呼びかけており「火傷」「空焚き」「ストーブの故障」の危険があります。
この記事では、
- やかんをストーブに置くリスク
- メーカーの見解
- 安全に使うために知っておくこと
についてご紹介します。
目次
ストーブの上にやかんを置くとなぜ危ないか
ストーブの上にやかんを置くとことで起こり得るリスクを解説します。
転倒・落下による火傷の危険
ストーブの上に熱湯の入ったやかんを置く最大の危険は、やけどです。
やかんに入ったお湯は100℃近く。
ストーブの上でバランスを崩して落ちれば、大やけどにつながるほど危険です。
特に子どもやペットがいる家庭では、わずかな揺れや接触で転倒する可能性があります。
特に乳幼児は皮膚が薄く、大人なら軽く済む程度の熱湯でも、広範囲にわたり重度のやけど(入院が必要なケース)につながることがあります。
ストーブが自動消火しても、熱湯によるやけどのリスクは残ることを忘れてはいけません。
過去の事故事例
能登半島地震(2024年1月):地震の揺れでストーブの上のやかんが倒れ、熱湯が幼い男の子にかかり、広範囲のやけどで亡くなるという痛ましい事故が報告されています。
釧路沖地震(1993年1月):揺れでやかんが倒れたり、慌てて火を消そうと近づいた際にやかんの熱湯を浴びたりして、重度のやけどを負ったケースが相次いで報告されています。
やかんの空焚きによる変形や火災の危険
水が減った状態のまま長時間ストーブにかけていると、やかんの内部が空焚き状態になります。
空焚きとは、水がすべて蒸発してしまい、金属そのものが直接加熱される状態のことです。
空焚きにより金属の変形や破裂の危険、最悪の場合火事になる可能性もあります。
寝ている間や不在時は、空焚きの危険性が高くなります。
「カンカンと金属音がする」「焦げ臭い」と感じたら、すぐに火を止めましょう。
ストーブ本体への悪影響
こぼれたお湯や水滴がストーブの芯や燃焼部に入ると、不完全燃焼を起こすことがあります。
ススや異臭の原因になり、部屋の空気も悪化します。
また、機器の故障や火災のリスクにもつながるため、水分がストーブにかからないように注意しましょう。
故障した場合、メーカー保証期間内でも「有償修理」となるケースがほとんどです。
メーカーの見解|やかんを置けるストーブもあるが注意が必要
一部のメーカー(例:トヨトミ、コロナなど)では、やかんを置くことを想定して設計されたストーブを販売しています。
たとえば「トヨトミ レインボーストーブ」や「コロナ SLシリーズ」などは、天板の耐熱性が高く、上にやかんを置いても問題ない構造になっています。
ただし、メーカーも取扱説明書の中で次のように注意を促しています。
- 「転倒や落下によるやけどにご注意ください」
- 「子どもの手の届く場所で使用しないでください」
- 「空焚きは絶対に避けてください」
つまり、「置ける=安全」ではなく、あくまで注意して使うことが前提です。
参照
コロナ「よくあるご質問/やかんや鍋を上げて使ってはいけないでしょうか」
トヨトミ「よくある質問/やかんやなべなどを石油ストーブにのせて使用できますか?」
アラジン「よくあるご質問/石油ストーブにやかんや鍋をのせて使用できるか」
安全に使うための3つの対策
ストーブガードを設置する
最も効果的な対策がストーブガードの設置です。
周囲に金属メッシュや柵を設けることで、子どもやペットが触れたり、やかんが落下したりするのを防げます。
レトロな雰囲気が人気の対流式石油ストーブには、インテリアに馴染むストーブガードがありますよ。
こちらでご紹介した2つのストーブガードは組み立て式のタイプ。
「組み立て式」や「マグネット式」のガードは、使用しないときに簡単に取り外せるのでおすすめです。
やかんの選び方
やかんはそこが広く、安定する形状のやかんがベスト。
各メーカーは天板より小さいサイズのやかんや鍋を使うようにと注意喚起しています。
ストーブの上に置くやかんの素材は「ステンレス製」がおすすめです。
ステンレス製のやかんは、ストーブ上での長時間加熱にも耐えやすく、破裂や腐食のリスクが低いのが利点です。
アルミ製のやかんは熱で変形しやすく、空焚きに弱いので避けた方がいいでしょう。
やかんの取手は木製か耐熱性の高い樹脂がおすすめ
ストーブに置くことを前提としているなら、熱くなりにくい以下のタイプが使いやすいです。
- 木製
- 耐熱性の高い樹脂(フェノール樹脂)
お湯が沸いた後も比較的安心して持ち運びができますよ。
金属製の取手は熱くなるため、持ち運びには鍋つかみやミトンが必要になります。
加湿目的なら加湿器の検討を
主な目的が乾燥対策であれば、やかん以外の安全な加湿方法を検討しましょう。
本格的に加湿したいなら、気化式やスチーム式加湿器を併用するのが安全です。
ストーブを消しても加湿できるため、就寝時や不在時も安心です。
ストーブの上にやかんを置くのは危ない? まとめ
石油ストーブにやかんを置く危険性についてご紹介しました。
ストーブの上にやかんを置くことは加湿もできて便利ですが、使い方を誤ると事故につながる可能性があります。
やかんを置いて使う場合は、
- 転倒・火傷防止のためのストーブガード設置
- ステンレス製のやかんを使う
- 空焚きに気をつける
といった対策をとりましょう。
加湿目的なら、やかんにこだわらず加湿器を使うことも検討してみてください。



